

ダンエレクトロのデラックスは1966年まで生産された。その名が指し示すとおり、見た目はとてもデラックスに見えるモデルで、ボディカラーはホワイト、ダークウォルナット、ハニーウォルナットの3種類がある。ホワイトのデラックスはグレッチで言えばさながらホワイトファルコンであろうか。実際にそうだというよりは見た目の印象のみに限定してのことであったが、その昔、グレッチはデコラティブなダンエレクトロで、ダンエレクトロは貧相なグレッチだと言っていたことを思い出した。とはいえ、この2つのメーカーに何の接点もないというわけではなく、グレッチがつくったトラベリング・ウィルベリーズのシグネチャーモデルはグレッチ製ではあったものの、全体の印象はダンエレクトロのUシェイプであったことを思い出そう。
入手したモデルはリップスティック・ピックアップを3基搭載したものである。デラックスに限らず、この仕様はおそらくフェンダーのストラトキャスターを意識したものであろうが、それぞれのピックアップ単独のトーンを使うのではなく、ミックスすることを前提としている点に違いがある。フロントはモコモコ、リアはカリカリ、だがしかし、それらをミックスすることによって味のある音になる。好みの音がつくれたら、あとはマスターボリュームで音量の調整をすればいいという寸法。

ダンエレクトロ恒例のコンセントリックノブで、通常はトーンコントロールになっている上の部分はウッドポインタになっているが、これはむしろピックアップのON-OFFスイッチといってよく、音色は先ほども述べたように、ピックアップの組み合わせによってつくる。この3つのピックアップのトーンをうまくミックスさせるためのセッティングが実に重要で、高さの調整が難しかったりするが、大きな音で弾いたときと小さな音で弾いたときで結果は違ってくるし、チューブアンプかソリッドステイトアンプかでも違ってくる。地道に調整するしかないわけだが、ツボにはまりさえすれば素晴らしいサウンドを生み出すのである。